カール・リヒター

最近、スカイ・パーフェクトTVのクラシックチャンネルで「カール・リヒターの遺言」という番組を見ました。


僕が高校時代、浪人時代、バッハのブランデンブルグ協奏曲や、マタイ受難曲を散々聴いてなんてバッハは素晴らしいんだろうと思わせてくれたのがこのカール・リヒターという指揮者でした。
指揮者というかオルガン奏者であり、チェンバロ奏者でもあり、その上、ミュンヘン・バッハ管弦楽団という団体を組織して、そこの音楽監督、指揮者であったのが、このカール・リヒターという方です。


当時はどんな演奏が素晴らしいのかとか全くわかりませんでしたし、自分でこういう演奏をしたいとかも思った事はありませんでしたが、このカール・リヒターミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏は理由なしに好きでした。
こんなところでチェロを弾けたらなんていいんだろうとは思ってました。そしてこの団体に入るにはどうしたら良いんだろうと思っていました。

しかし、それを実行しようとしませんでしたが、ただただこのカール・リヒターを尊敬していました。


ちょうどその頃カール・リヒターは54歳にして亡くなったのですが、それから四半世紀たった今でもその素晴らしさは語り継がれていますし、今でも僕は尊敬してやみません。
そんなミュンヘン・バッハ管弦楽団カール・リヒター亡き後の音楽監督がハンス・マルティン・シュナイトさんなんです。


僕にとってはシュナイトさんが神奈川フィルを振りに来る前からその存在は知っていましたが、まさか、こういう縁が後々あるなんて本当に驚きでした。
よくその時代その時代、「天才」という言葉で凄い人達を評しますが、僕はあまり天才という言葉は好きではありません。
生まれつき凄かったというようなその言葉で片付けるのは簡単ですが、実はその言葉よりもそういう偉人たちはあまりにも凄い努力をしています。
その人間として考えられないぐらいの努力の量をこなせる人達がきっと良くいわれる「天才」という事なんでしょう。


学生時代、僕は故井上頼豊先生に「才能があるっていうのはどういう人達なんですか?」と聞いた事があります。
先生は「人より努力の継続ができる人の事を言うんだ」とおっしゃっていました。
その番組で語られていましたが、カール・リヒターはほとんど暗譜で指揮もオルガンもチェンバロも演奏したのに、最後の10年間は目が悪くなったと言う事もあり、楽譜の研究にものすごい時間を費やしたそうです。
それだけの人が最後まで楽譜に向き合うなんて、感動的でありました。


やっぱり僕は怠け者のカテゴリーにどうやら入る気がします。


いや、必ずここからは抜け出たいと思います。