ボッセ先生の定期演奏会

今日はクリスチャン・バッハシンフォニアハイドンのシンフォニー94番「驚愕」、そしてベートーヴェンのシンフォニー第7番というプログラムでした。プログラムもさることながら、86歳のボッセ先生のはつらつとした指揮ぶり、あまりにも凄い知識と勉強量、特にこの勉強量にはいつも頭が下がる思いです。別にボッセ先生が勉強をしている所を一度も見た事はないのですが、お話になる言葉からその作曲家に対しての真摯な姿勢や、今回はこういう演奏をしたいという想いを語る姿からオーケストラの団員の誰しもがそれを感じる事になるのです。
だからリハーサルもゲネプロも本番も常に緊張感があります。リハーサルの初日に「最近ようやくハイドンの素晴らしさがわかってきました」とおっしゃっりましたが、凄い発言だと思います。さらに、ハイドンは世界的に不当な評価を受けていると力説なさっていました。もっともっと素晴らしい作曲家なんだと。一昨日、この緊張感に満ちたリハーサルの後にみなとみらいホールでピアノトリオのコンサートがありましたが、かなり体力的にも精神的にもタフな1日でした。しかし、疲労感はあっても、なぜかこういうボッセ先生の前向きな真摯な姿勢を見ていると、自分もそういう人間になったような気がして意外にそのピアノトリオのコンサートは乗り切れました。しかし、毎日毎日こうやって生きて行かないとだめだなと本気で思いました。
今回も神戸室内の時同様、テンポの設定が信じられません。本当にこの人86歳かと思える程の生き生きとしたテンポ感、音楽の感じ方、僕には「驚愕」の毎日でした。驚く事はまだまだいっぱいありましたが、兎に角素晴らしい音楽家です。
お客さんも喜んでいただけたのではないでしょうか?まだまだボッセ先生にはいっぱい教えて頂きたいことがあります。どうぞお体にご自愛なさっていつまでも素晴らしい指揮者として活躍して頂きたいと思います。
シュナイトさんとボッセさん、二人ともドイツが生んだ巨匠ですが、指揮者として早くから活躍してきたシュナイトさんと、バイオリン奏者、ゲバントハウス管弦楽団で長く第一コンサートマスターとして活躍されてきたボッセさんでは、アプローチの方法、テンポ、違う所が沢山ありますが、最終的には実は同じ事を求めている事がわかりました。僕たちは実は幸せですね。
この二人の音楽家からすれば、僕なんてまだまだ子供でしょうね。