あと一曲

長い間、留守してました。
名古屋と岐阜に行っていました。
名古屋では、名古屋芸術大学の教員による室内楽コンサートでブラームスクラリネット5重奏と
ブルッフの7重奏を演奏いたしました。
そのあと、二日間空いて、バッハの無伴奏チェロ組曲のレコーディングに入りました。
場所は岐阜のサラマンカホール、レコーディングのエンジニアは名古屋ディスクさん。
サラマンカホールは、14年前に出来た比較的新しいホールで、素晴らしい響きとパイプオルガンが自慢のホールです。
確かに素晴らしい響きでした。
素晴らしい響きのホールで、ずっとお借りしてる素晴らしい楽器で、素晴らしい録音の装置で、、、
あとは僕の腕だけでした。
4日間でバッハの無伴奏チェロ組曲の1番から5番まで5曲を無事録音できました。
来月11月にもう1日ホールをとってあり、残りの6番を録音いたします。


しかしながら、壮絶な録音でした。
朝10時半から、夜9時半まで、食事以外の時間はほとんど弾いていました。
なんと16回も弾いた曲もあります。
それでも100パーセントの演奏は出来ません。何かが気に入りません。
左手は腫れ上がり、指は血まめができ、4日間は僕にはぎりぎりの期間でした。5日間とって6番まで録るというのは
無理でしたね。

テイク10を超えて来ると、何を思って弾いているのかが、段々わからなくなってきます。
10分休憩して、外に行ったり、顔を洗ったり、左手を冷水で冷やしたり、そして勝負の最後のテイクに取りかかるという
日々でした。
しかし、バッハの事しか考えない4日を過ごして、バッハが遠く思えたり、言葉にはできない魅力を再び感じたり、
これが今後のぼくの人生にプラスになればと思います。

身体はぐったりして、ホテルにつくと動けないのですが、逆に夜は頭や神経が過敏になっていて、一睡も出来ない日もありました。

しかし、かなり自分では納得の行くレコーディングが出来たのではないかと思っています。

2月には全てが完成して、聴いて頂けるのではないかと思ってます。

しかし、なんという曲だろう。
素晴らし過ぎます。

もっともっっとこの曲を多くの方に聴いて頂きたく思っています。