神奈川フィル定期演奏会

昨日、神奈川フィルの定期演奏会を聴きに行きました。
10年神奈川フィルに在籍して、3回目です。聴くのは。
ほとんどは弾いていますからね。
指揮者は当楽団の音楽監督、ハンス・マルティン・シュナイトさん。
もう70歳をとっくに過ぎたドイツの巨匠です。ミュンヘン・バッハ管弦楽団
音楽監督を務めるなど、リハーサルでもドイツ語しか話さない頑固な巨匠です。
しかし、シュナイトさんの音楽作りは素晴らしいとしか言いようがありません。
あの歳にして、ものすごい勉強量で、質問した事に関しては即答は当たり前、迷いがありません。
なのに、モーツァルトの最高の演奏とは?と聞いてみると、
「それは天国でしか聞けない。この世で聞けると思うな」
とおっしゃる。
たまにブチッと切れて怒鳴りますが、その1分後には笑顔に戻るという、厳しさの中にも人間的な優しさに溢れた
素晴らしい方です。
さて、昨夜演奏された曲はシューベルトの「未完成」、リヒャルトシュトラウスの「4つの最期の歌」、
そして交響詩死と変容」でした。
演奏の内容を1楽団員である僕が書くのもおかしいので書きませんが、楽しめました。
そして非常に勉強になりました。
今後僕がこのオーケストラで何をして行かないといけないのかとか、シュナイトさんが何をこのオーケストラに求めているのか、
等々、2時間びっしりと考えさせられました。
コンサートとは聴きに行く物ではありますが、やはりじっくりと自分と向き合う時間を得て考える場所でもあると再認識しました。
そして、当たり前の事ですが、歴史に名を残す作曲家(昨夜はシューベルトとリヒャルトシュトラウスでしたが)
ものすごい物を残してくれたものだと震える程の驚愕を僕に与えてくれました。
やはり、僕の仕事はこういったすごい地球的遺産を多くの人に正確に伝え、また後世に伝えて行く事だと思いました。

終演後、シュナイトさんに挨拶に伺いますと、
「お前はなんで俺が振る定期演奏会に出てないんだ!」
とまずは叱られ、
「他で金を稼ぐ事も必要だ」
とフォローのお言葉も一応頂きました。稼いでいませんけどね。

今年の春にバッハの無伴奏チェロ組曲のツアーをした時に四国愛媛の松山4カ所でお世話になった オフィス・アルカディアの二宮さんが
今回の演奏会に聴きにいらっしゃってまして、再会出来た事も非常に嬉しい時間でした。
来年の春も4カ所で残りの3曲をやらせて頂きますが、またよろしくお願いします。