ありがたい質問

今年のお正月のヴィルトーゾは大阪シンフォニーホールではなく、兵庫芸文での開催でした。あっという間にチケットは完売したという話を聞いてうれしく思いました。

その行き帰りの新幹線で去年入団した東京交響楽団首席のI君とずっと隣の席で、いろんな話をしながらの移動でした。
僕が最初にオーケストラに入ったのとほぼ一緒の年齢で、僕にとっては懐かしく昔を思い出す事も沢山ありましたし、彼のこれからの不安や期待を聞く事も自分を思い返すいい機会となりました。

そんな中彼に
チェリストならこの人だ!と1人挙げるとしたら誰ですか?」
という質問を受けた。

即答出来ず、しばらく考えてから
「一人はどうしても無理。二人挙げるならパブロ・カザルスアンナー・ビルスマかなぁ」と答えました。
その理由をここに書くと、多分一ヶ月ほどパソコンの前にいて書き続ける事になるでしょうから書けませんが、僕のチェロの神というのはカザルスとビルスマでしょうか。

もちろんヨーヨーマやロストロポービッチ、フルニエ等々、あまりにも偉大なチェリストはホントに沢山いらっしゃいますし、大変尊敬しています。
でもカザルスとビルスマ。

そんなビルスマのバッハのCDを帰宅してから聴きました。
普段滅多にバッハのCDを聴く事はありません。
なぜなら、以前にも書きましたが真似してしまうからなんです。
ビルスマさんは2回バッハの無伴奏チェロ組曲を録音されていますが、僕が好きなのは1度目の録音。これほど歌うのではなく語るバッハは類を見ないし、久々に深く心を動かされました。
この録音を初めて聴いたのが大学2年生の時の桐朋学園の図書館。

思い出します。
びっくりしてほぼ1日図書館で繰り返し聴きました。
特に4番の語りかけてくる言葉の1つ1つにはすべて意味を持ち、それが大声で叫ぶ事よりも強いメッセージを有すると言う事にただただ呆然とした記憶があります。


そんなバッハを今年、再びゼロからやり直そうとしている僕には、ほんとにタイミングの良い刺激をもらいました。
質問をしてくれたI君、ありがとう。