2013、カウントダウン

神奈川フィルの定期演奏会の終演後、お客様の御見送りをする時に、神奈川県知事の黒岩知事が「神奈フィルの存続が危ぶまれています。是非皆様のご協力をお願い申し上げます」とずっと言って下さる。
僕は心から有り難い事だとずっと思っていた。もちろん公益法人を継続出来なければ解散になるし、仮に継続が出来たとしても神奈川県や横浜市の応援が無い限り、解散は無いにしても多分未来はないんだと思う。
それは大阪府大阪市での例は我々に突きつけられた現実。
でも黒岩神奈川県知事や林横浜市長が神奈川フィルを応援する会の会長、副会長である事は本当に幸せな事だ。


とは言うものの、まずはなんとか公益法人の申請をして認められなければいけない。でも、それが目標ではダメなんだと思ってる。
公益法人の認可を受けられた後の神奈川フィルこそ勝負なんだと思う。
今までブルーダル基金を通じて、本当に多くの人に多くの寄付を頂き、多くの企業に多くの寄付を頂いて来た。
そして、定期会員の方々にはご心配、ご迷惑をかけてきた。
その恩返しは並大抵な事では返せない。
良い演奏をすれば済むとは全く思っていない。


神奈川フィルは2013年は勝負の年だ。
幸い多くの問題は抱えているものの、去年、今年から今まで何も動かなかったいろんなシステムも構築されつつあり、段々とオーケストラ自体の整備が少しずつではあるけど整ってきた。
新たに首席客演指揮者としてサッシャゲッツェルさんが就任する事になっているし、自分のチェロセクションの話では、契約の首席チェロ奏者に門脇くんというまだ30歳の若手バリバリの素晴らしいチェリストを来年4月からお迎え出来る事になった。門脇くんは、東京芸大を出てイタリア、オランダに留学し、今年完全に帰国した実力派だ。
正直、彼からいろんな事を学びたいと思ってる。
こう書くと「謙虚にもほどがある」とか「そんな事思ってもいないだろ」と言われそうなのは想像がつく。
でも本心。
一人の人間がいくら考え、勉強したって知れてるし、限界はいつも見えている。
人から学ばないと先はない。
幸い僕には素晴らしい友人が周りにいたから今まで助かってきた。
今度は同じ楽器の同僚としてそんな素晴らしい奏者が来てくれる事になり、本当に嬉しい。

門脇くんとソッリマ作曲の「チェロよ歌え!」という弦楽合奏と2本のチェロのための曲を6月の音楽堂シリーズで演奏するけど、これは楽しみでしょうがない。曲の素晴らしさもさることながら、島根県出身指揮者伊藤翔くんと鳥取出身の門脇くんは昔からの知り合いであった事も発覚して、点と点が繋がり線となり、さらにはお客さんとも繋がって、一緒に音楽が出来たり楽しめる喜びを今から隠せない。