松本 2

もはや松本に来て10日以上が軽く経過した。
この日数の間、毎日必ずしていることがある。

それはタリーズで朝コーヒーを飲んで新聞や本を読むこと。
ここのタリーズのスタッフの方々は本当に感じが良く、素敵な方ばかり。
朝から本当に気持ちの良い対応をしてくださるし、快適な一日のスタートが切れる。
意外に最も大切なことかもしれないと思う。

去年までは必ずウォーキングをした後にこのタリーズに行っていたけど、
今年はこの首と腕の痛みでは到底歩くこともできず、シャワーを浴びた後、タリーズへ直行している。

ここでほぼ1時間。
新聞を読み、ぼーっとして何か思えばTwitterに呟く。
大好きな時間だな。

昨夜、ダニエル・ハーディング指揮のシューベルトの3番のシンフォニーとリヒャルト・シュトラウスアルペンシンフォニーの第1回目のコンサートがあった。
ホルンのバボラクさんが雑誌のインタビューで「僕のキャリアの最高地点はサイトウキネンである、ベルリンではない」と言っているけれど、こんな僕でも彼が言おうとしている事は理解できる。
昨日のアルペンシンフォニーの頂上に立った場面の響きたるや自分が自分でない感覚、とでも言うのか、うまくは表現できないけれど、音楽を聴いて酔いしれているのか、楽器を弾いて酔いしれているのかわからなくなる。

体の痛みは半端ではないけど、朝ゆっくり新聞や本を読み、コーヒーを飲み、あの響きの渦の中でチェロを弾く。
いったい何の不満があると言うのだ。もちろん不満など全くない。
これを経験させてもらっている事に心から感謝したいし、周りの皆さんの様にもっと高い所で音楽を表現できたらと思う。そのためには基礎、そして技術。一番必要な技術は、素晴らしい音楽がどんな音楽なのかと言う事を判断できる技術なんだ。そしてそれを表現する技術、これが2番目だと確信している。