モーツアルト、お前って奴は

あまりここまで忙しくて時間が無いと言う事はそんなにある訳ではないのですが、ここまで忙しいと何かに追われて、相当焦った毎日を過ごしています。もちろん物理的に時間が無くなる理由はオーケストラだったり、他のアンサンブルのリハーサルだったり、自分の練習だったりと楽器を弾く事が全てなんですけど。でもこのえも言われぬ不安感や焦燥感が消える時がある。楽器を弾いている時がその時間。追い込まれている理由が楽器なのに、救ってくれるのも楽器。かといって、勇気を振り絞って楽器を弾かないぞと休みを取ると違う不安に襲われますが、楽器を弾く事でまた救われる。いったいなんだこれは。泳ぎ続けないと死んでしまうと言われてるマグロかよ。

今回の東京アンサンブルのプログラムに、モーツアルトの2台のピアノの為のソナタを9重奏に編曲したものがあります。
今日朝10時に「おはようございます」と言って始ったリハーサルも、最後にこの曲を練習を始める時はもうすっかり外は闇でした。疲労からか右手、左手、目、耳、全ての機能が落ちて来て、これからモーツアルトかと思った時にあの音楽室に飾ってあったモーツアルトの絵を思い浮かべながら憎みましたね。
ところが曲が始るとこれがまた良い曲なんですね。ランナーズ・ハイじゃないですが、この上ない幸せ感に包まれました。嘘偽りなく、もっとリハーサルしましょうよという感じでしたもん。
事業仕分けで7割ほど身体の機能がカットされていたのにもかかわらず、モーツアルトの一声で予算は倍増と言ったところでしょうか。

なんて奴だ。モーツアルトは。
この曲は昨年日本での公演で演奏したので今回はヨーロッパでしか演奏しませんが、毎回演奏したいぐらい素晴らしい曲です。
リハーサルが終わった後もクタクタなのになんか気分が良く、家に帰ってからも楽器を出したりと、妙に元気です。
つくづく思いましたが、音楽って素晴らしい物ですね。