2008年コンサート・ベスト3

まずは第3位から行きます。
別に得点やポイントがある訳でもありませんが、3位は同率で二つあります。

3月6日 東京文化会館でのピアノ・クインテットの夕べ。シューマンフォーレのピアノクインテットを演奏しました。
シューマンはともかく、あのあこがれの、しかも超難曲で名曲のフォーレのピアノクインテット第2番を自分たちの想いのまま演奏した事は忘れる事ができません。あの難解なハーモニーを同じ想いで感じる事はなかなか出来ない事でもあります。未だにあの時の神経の高ぶりは忘れられませんし、思い出しただけでも鳥肌が立ちます。
もう一つは4月29日、三軒茶屋サロン・テッセラでのバッハの無伴奏チェロ組曲2番3番5番。2年にわたって20数カ所でバッハの無伴奏を演奏して来ました。そしてその間にレコーディングもしました。その最後のコンサートでした。本当に全国いろんな場所で演奏させて頂きましたし、すごくいろんな事を学べました。そして沢山の出会いもありました。万感の想いで3曲を演奏した事は決して忘れません。


そして第2位です。

11月1日 浜離宮朝日ホールでの「チェロ弾き達のオーケストラ」チェロカルテットのコンサートです。これは兎に角キャラクターが違う4人で、しかもやりたい曲をやる、しかもプログラムノートや全員のプロフィールも全部従来の物ではない物を作ろうと最初から思っていました。それはとても皆さんに喜んで頂けましたし、首の痛みでどうなるかと思っていましたが、他の3人のチェリストに助けられ、良い演奏が出来たと自負しております。今までに無いコンサートと言うのが良い訳では決してありませんが、何か常に未来志向の挑戦を続けたいと思っていますし、その為には毎年毎年腕を磨かないとダメだと共演の3人に教えられたコンサートでもあります。今年もこのコンサートを企画しております。今年はまたどうなるのか、誰にもまだわかりませんが、それを考える事もとても楽しい作業です。


そして第1位。

10月16日 愛知県立芸術劇場でのドボルザークのチェロ協奏曲、オーケストラは教えに行っている名古屋芸術大学オーケストラ。
自分の教えてる生徒さんの前で弾くというのは本当に嫌なものでした。コンチェルトとしては多分ドボルザークのコンチェルトが回数的に断トツに多いですが、またしてもこの曲の素晴らしさ、偉大さ、そして難しさを思い知った経験でした。破綻もきたす事無く演奏出来たとは思いますが、これから僕はどうして行けば良いのかという課題と不安が強くなった演奏会でもありました。もちろんその答えはまだ出る筈もなく、ずっと心のどこかにその想いはあります。そして、このコンサートは母親が僕の演奏を聴いた最後の演奏会でした。

以上ベスト3でしたが、いずれも今日は最高にうまく行った!なんて事は1度もありませんが、何かを与えてくれるコンサートがやっぱりベスト10、そしてベスト3になるんだと思いました。

そして2009年、またどんなコンサートが待っているのか、そしてどんな演奏をして、どんな想いが残るのか、楽しみでもあり、不安でもあります。